負け犬の傷に、キス



博くんとユキたち“無色”と同盟を結んでから2週間。


着々と準備を進めてきた。



演技派なユキが、薬物依存症をよそおって標的たちに情報を流した。




『今月の第三土曜日の真夜中3時、街はずれの廃ビルで、俺らを撲滅しようとする奴らが集まるらしいぜ』




戦いの場を作り上げ、標的たちを誘い出す。

廃ビルには事前にトラップを仕かけておいた。




そしてついにこれからいざ決戦。




緊張するし、やっぱり怖い。

だけどやらなくちゃ。


無理に傷つけなくても、標的を拘束もしくは気絶させればいいんだ。


俺も力になれるはず!





「あの、希勇くん!」




夕日ちゃんに呼ばれ振り向く。


長方形型の小さな紙を手渡された。

真っ赤な花びらで、花の模様に貼られてある。




「これって……」




透明な加工をほどこされたコレには見覚えがある。


俺のあげた赤いバラを押し花にした栞。

夕日ちゃんが作ったんだよな。




「お、お守り代わりにならないかなって思って……!」


「ありがとう! 最強のお守りだよ!」




この栞にはふたり分の想いがこもってる。

コレを持ってるだけで、夕日ちゃんが力を分けてくれるよう。


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