負け犬の傷に、キス
「ありがとうな」
俺を助けてくれて。
俺のために怒ってくれて。
情けない総長を慕い続けてくれて。
感謝してもしきれない。
仲間が信じてくれている俺を俺自身が信じなきゃ。
「俺はもう、逃げないよ」
「「総長……!」」
自分を、みんなを、傷痕だって守ってみせる。
下っ端ふたりを俺の後方まで下がらせ、ふたりの隙を突こうとしていた敵を蹴り飛ばす。
「ヒューゥ」
対角の場所で薫が口笛を吹いた。
ちょうど1階に下りてきた柏は、よそ見をしてる薫に加勢する。
「おい何してんだ」
「あ、ビーヤン。2階のイミフなヤカラは終わったの?」
「ああ、ぶっ殺してきた。んで? めずらしくよそ見してっけど何かあったわけ? 1階のほうがイミフなんだけど」
「ふふふ」
「……なんだよ気持ち悪ぃ」
「“負け犬”がいよいよ覚醒したんだよ」
喜色満面に、薫は敵を3人気絶させた。
柏の瞬発力が一瞬にぶる。
「マジ?」
「マジの中のマジ」
柏の表情も薫と同じ色にいろどられていく。
「へぇ? やっとかよ。待ちくたびれた、ぜっ!」
今日イチ重たいパンチを敵に食らわせる。
薫と柏の殺気が生き生きと輝き出した。
「これで本当の双雷になった」
「俺らの勝ちは決まったな」