負け犬の傷に、キス




――って、意気込んで来てみたはいいけど……。




初めて訪れた西校。

校門前でキョロキョロしていたら、下校する西校の生徒がジロジロ見てくる。


これじゃあ完全に不審者だよ……!



他校の人がいたら多少なりとも目立つ。


だけどここまでとは! 想定外だよ!


わたしそんなに怪しい?

白薔薇学園の制服のせい?




「ねぇあの子……」

「白薔薇学園の生徒?」

「なんで西校に?」

「めっちゃかわいい!!」

「誰かの彼女!?」




こんなに注目されるとは思ってなかった……。


学校帰りに繁華街でギフト用のクッキーを買ってから、そのまま西校に来たのがいけなかったのかな。



よけいに緊張してきちゃったよ。




「キユー、英語やばいじゃん。なにこの点数」


「や、やめろよ薫! これでも頑張ったんだぞ!?」


「頑張ってこれって……。成績大丈夫なの?」


「大丈夫! 赤点じゃなかっただけマシ!」




あ、この声……。

校舎のほうをうかがってみると、昨日の男の子が校舎から出てきた。


いた! 会えた!




「あ、あ、あの……!」




校門を過ぎかけた男の子に、勇気を振り絞って声をかけた。

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