負け犬の傷に、キス
●傷口
PM5:00。
街中に響く鐘の音。
夏休みのテンションのバカ騒ぎ。
――♪♪
短めの通知音。
双雷メンバー全員が集まった洋館のホールで、夏休みの計画を立てていたときだった。
薬物使用者大量逮捕がニュースになり、取り締まりの厳しくなった街では、薬物使用者を見かけなくなってきた。
特に、繁華街がいちじるしく治安がよくなった。これから長期休みの時期になり、いっそう栄えても、そうそう危機的被害は起きないだろう。
“薬”の売人のことはあれど、俺たちも思う存分夏休みを満きつできる。
遊ぶぞ! 楽しむぞ! ハメ外すぞ!
と、わーわーぎゃーぎゃー盛り上がっていた。
そんなときだったんだ。
――♪♪
「誰の? キユー?」
「うん、俺。誰からだろ」
立て続けに鳴った携帯にメッセージが受信されたのは。
『津上夕日』
送り主の名前に笑みがこぼれる。
白薔薇学園は今日まで学校なんだっけ。
このあとここに寄るのかな。
会えるならそのとき夏休みの予定を聞いて、念願の2回目のデートに誘って……!
「……え?」