負け犬の傷に、キス
「変じゃないわよ。すっごくかわいい」
「ほんと!?」
「ほんとほんと。さすがわたしの娘ね!」
お母さんったら。
ほめすぎだよ。
照れてしまうわたしに、お母さんはクスクス微笑んだ。
「楽しんできなさい」
「うん! 行ってくる! お母さんも仕事頑張ってね」
エールをくれた分送り返し、病院をあとにする。
太陽が暑い。
ドキドキと相まって体が熱くなってくる。
「あ」
繁華街に向かう途中。
前方から声が飛んできた。
目の前にはクラスメイトの女の子。
わたしを白い目で見てた中の1人だ。
反射的にどちらとも立ち止まってしまった。
最後にわたしがいろいろ言っちゃったしなぁ。
少し気まずい、かも。
「…………デート?」
「へ、」
びっくりした。
質問内容にもだけど……まさかあっちから話しかけてくれるなんて。
このまま通り過ぎていくかと思ってた。
「あ、えっと……うん、まあ」
テンパってたせいで歯切れ悪くなる。
あいづちもなくまた沈黙が続く。
「……いろいろ、ごめん」
さっきから驚きの連続だ。