負け犬の傷に、キス
動揺を隠せない俺たちに反して、望空ちゃんの眼差しはどこまでも純粋にキラキラしてる。
ま、眩しい!
小学生の純真無垢なキラキラ、凄まじい……!!
「ケホッ、ケホッ……。ノアチ本気?」
薫はふいたダージリンを拭きながら、望空ちゃんが正気かたしかめる。
てか、ノアチって。
ニックネームつけるの早くない?
俺が来る間に仲良くなりすぎだろ。
「本気です!」
「ココがどういうとこかわかってねぇんじゃねぇの?」
「わかってますよ! わかってて言ってるんです!」
わあ……あの柏と睨み合ってる……。
すご。逸材かも。
あ、「かも」じゃなくてそうなんだった。
「あたしを双雷に入れてください! おねがいします!」
深々と頭を下げられてしまった。
これは断ったら土下座をしかねない勢いだ。
でも……昨日みたいにすぐには頷けない。
「望空ちゃんは、双雷をどんなところだと思ってる?」
ゆっくり上半身を起こした望空ちゃんは、予想外の質問に少しポカンとしていた。
「そ、双雷は……不良がいっぱいいるぼうそうぞくのひとつで、すっごく強いところ。よくケンカして、いたい思いをたくさんしてるけど……だれかを、何かを、守ろうとしてる。そうやってあぶなくてもたたかおうとする、あつい人たちが集まってるグループだと思っています」