負け犬の傷に、キス
*
最寄り駅で電車を降りて、西校のほうへ向かった。
こんなに全力疾走したの久しぶり。
晴れの日の風が涼しくて気持ちいいこと、初めて知った。
ようやっとたどり着いた公園で
無邪気にはしゃぐ子どもたちを
ベンチに座って眺める草壁くんに見惚れた。
ほがらかに澄んだ茶色い瞳が、おもむろにわたしを映す。
「あっ! 津上さん!」
――あぁ……好き。
にこやかに手招きをする草壁くんに駆け寄った。
止まれなかった。
突進するみたいに抱きつけば、草壁くんの心音がドックンと飛び跳ねた。
「つつつつ津上さんん!?」
「……っ、会えた……」
もう苦しくない。
息もできる。
草壁くんのそばが、一番心から落ち着ける。
大好き。
「つ、津上さん……?」
――ぎゅるるるぅ~。
「……っ!?!?」
や、やってしまった!!
いろいろと!!
ハッとして身を離す。
思わずハグしちゃったし、お腹鳴っちゃったし!
は、恥ずかしい……!!
うぅ……ど、どう言い訳しよう……。
上のほうに熱がたまっていく。
両手を広げて顔を隠したら、クスリと笑われた。
「津上さん」
「……あ、あの、ご、ごめ」
「お昼にしよっか」