負け犬の傷に、キス
「悪いヤツほど善人ぶって近づいてくるんだからね? 気をつけなよ?」
「……でも津上さんは悪い人じゃないよ。絶対に」
心配してくれてるのは嬉しいけど、薫も津上さんのことをもっと知ったらわかるよ。
津上さんは優しいんだ。
不良の俺たちをかばおうとするくらい。
「……まさかキユー、あの子に惚れたんじゃないでしょうね」
ホレタ?
惚れた腫れたの……惚れた?
かああぁぁ!!と顔中が赤らんでいく。
首も耳も全部熱い。
丸くなった琥珀色の瞳に、はっきりとゆでだこになった俺が描かれてる。これはひどい。
「ウソでしょ……」
薫は自分の額に手を当て、息を吐いた。
どうせつり合わないとか思ってるんだろ!
同感だよ!!
「……よし、わかった」
「な、何が??」
「当たって砕けな」
「砕ける前提!?」
いや、俺もそうかなって思ってたけど。
そうはっきり断言されるとショック!
「あの白薔薇の子がこういうコトに鋭いタイプだとは思えないし、伝えないと一生伝わらないよ」
「そ、それは……」
「砕ける覚悟で伝えたら、ちょっとは意識してくれるかもしれないしね」
……あれ? 意外と乗り気?
応援してくれてるのか?