負け犬の傷に、キス
えっ、本数って何。
そういうのにも意味とかあるの?
ちょっと気になって赤いバラを凝視してみる。
うーん……良し悪しがまったくわからない。
とりあえず花の形と色がよさそうなものをひとつ選んだ。
本数は……3か9か12だっけ?
服を買ったばっかりだし、3本かな。
「3本にしたの?」
「うん、まあ……。どう?」
「ふーん? どれもきれいだし、いいんじゃない?」
よし、薫のお墨付きだ!
このままなりゆきで購入し、もはや告白せざるを得ない状態に。
告白のセリフも決まってないのに、ひと際濃い色のバラが先に用意されてしまった。ちゃっかりピンクのリボンをつけてもらい、ラッピングもカンペキ。
「そのバラがきれいなうちに告白しないとね」
薫にバシッと背中を叩かれた。
追い討ちをかけるなよ!
バラってどれくらいで枯れちゃうんだろう。
きれいなうち……明日とか? え!?
「じゃ、一回家帰るね。またあとで~」
「あ、う、うん。またあとで」
アサガオを持った手を振る薫が、終始ニヤついていてムッとする。
あいつ……っ。
ニヤニヤするなー!
少し距離ができると薫はあっさり背を向けた。
こちらに振り返ることはなかった。