負け犬の傷に、キス
もうこうなったら……
あ、当たって砕けろだああ!!
「す、好きでふ!!」
思いきり噛んだ!
つくづくきまらないな……。
バラで挽回だ!
カバンから赤いバラ3本を取って差し出した。
「よければ俺と……つ、付き合ってください!!」
ほとんどその場の勢いで告白してしまった。
津上さんは目ん玉がこぼれそうなくらい驚いてる。
うん、俺も自分に驚いてる。
突然の告白でごめん。
だけど信じてほしい。
ウソ偽りのない気持ちなんだ。
バラを持つ手が、汗ばんで震える。
全身あっつい。
顔は真っ赤っかなんだろうな。
津上さんのほっぺも同じくらい赤かった。
そこにポロポロと涙が流れた。
「え!? つ、津上さん!?」
「……っ」
「そ、そんなに嫌だった!?」
津上さんは首を左右に振った。
「わたしも、好き。大好き」
嗚咽まじりでもたやすく聞き取れた。
胸の芯まで熱くなる。
涙を拭ってあげたくて、空いてるほうの手を伸ばす。
「……でも、」
途中でピタリと手を止める。
津上さんは自分で涙を拭った。
「そのバラを受け取れない……っ」
「え……?」
「受け取りたいけど……受け取れないの」