ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
消えた椿
病室の中央には点滴につながれて眠る椿。
その顔色はいつにも増して青い。

その横には海が座っている。

このまま目が覚めなければつらい現実から椿は逃げられるのかもしれないと思うと、このまま目覚めなくてもいいんだと言ってあげたくなる。

でもそれじゃだめだ。

ちゃんと目覚めて、ちゃんと前に進んでほしい。
未来を生きてほしい。

幸せをつかんでほしい。

このまま人生を終わってほしくない。

海はそっと眠る椿の頬に触れた。
少し冷たいその頬に自分のぬくもりをわけるように触れながら、目覚めを待った。
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