ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「店長も、ちゃんと生きてほしい」
「・・・」
凌駕はそう言って立ち上がった。

「いつまでも姉貴の面影探して空を見上げるの、もうやめましょうよ」
海と椿が凌駕の背中を見つめる。

その背中が泣いているように見えた。

「姉貴は死んだんです。空を探しても、もういませんよ。」
言っている凌駕の心の痛みを知っているからこそ、海は何も言えない。

自分の心を痛めながらでも海に想いを伝える凌駕。

海を心から思っているからこその言葉に、海は夕日に目を移した。


沈んでいく夕日。
香菜が死んでから空を見つめることが習慣になった。
街中でつい、香菜の姿を、香菜の幻をおってしまうことだって今もある。
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