ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「はぁ・・・」
海は小さくため息をつきながらも二人の誘いを今度は断ることができなかった。


椿は少し安心してから再び作業に戻った。

最近では接客業務もこなせるようになった椿。
まだぎこちなさはあっても一生懸命自分から積極的に客を迎えることで、徐々に慣れて生きていることを海と凌駕は感じていた。
最近では椿に花の育て方のアドバイスや、花束づくりを指名してくる客も増えている。

作業をしているとポケットに入れていた携帯電話が鳴った。

「店長」
椿からの声に作業台で作業をしていた海が顔をあげる。
「ん?」
その声と表情の優しさに椿は自分の胸が簡単に高鳴ることを感じた。
「すみません。私用の電話に出てもいいですか?」
椿の言葉に海はもちろんといわんばかりに頷いた。
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