ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「あっ。大丈夫。店長も一緒だよ」
凌駕が椿から海がしっかりと見えるようにと少し体をずらす。
海の姿を見た瞬間、椿の表情は、凌駕を見た時の緊張や不安の表情から、安心に代わる。


こんな椿の状態こそが、凌駕が病院へ来たくても頻回にくることができない理由だった。


「今日のおみやげ」
海が先に病室へ入り、椿の左手にブーケを渡す。
「今日はピンクだよ」
凌駕が遠慮がちに顔を出した。
「ありがとう・・・」
小さくつぶやく椿の声が震えている。

「今日のブーケは凌駕と選んだんだ。」
「そう!今日は椿ちゃんに見てほしいものがあるんだ」
そう言って凌駕が一冊の本を海に渡し、海が椿に渡した。
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