ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋

「俺も、店長も、待ってるよ。椿ちゃんのこと。」
凌駕がすぐに椿に伝える。

椿はそっと動く左手で自分の動かない右手に触れた。

海が椿の肩を抱く。

椿の瞳からは大粒の涙が流れた。



椿の右手は、母親に切り付けられた傷が原因で、神経が切れていた。
肘から先の感覚がなくなってしまった。

海は椿の肩を抱きながら椿の手の上から椿の感覚を失った右手に触れる。

凌駕は大丈夫とは言えなかった。
ただただ、涙を流す椿と、そんな椿に寄り添う海を見つめることしかできなかった。