ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
海との付き合いも長くなればなるほど。、表情から海の心情も読み取れるようになった。
そんな海も、香菜と一緒にいる時間の中でどんどんと表情が柔らかくなったのを思い出す。


そして・・・姉が亡くなる直前。
凌駕は時々花屋を手伝っていて、海が配達に行っているときに姉が話していたことを思い出していた。


姉の話をいつか海にしようと思っていた。
でも姉を失って絶望の中にいる海にはその話をすることはできなかった。

姉を思い出すような話をすることで、海が命を絶ってしまうのではないかという恐怖さえ感じていた。


「なぁ。もう大丈夫かな・・・」
凌駕がひとり呟く。


海のために。椿のために。何をするべきか、ずっと考えて来た凌駕はやっと答えを出そうとしていた。
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