ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
海の脳裏に、店で仕事をしている香菜の姿が浮かぶ。生き生きとしていて、店の話をしているだけで香菜は輝いていた。
「店は香菜の夢だったからな」
海がテーブルに届いたばかりのビールをグイっともう一口のんだ。
「違いますよ」
凌駕の言葉に海が凌駕の方を見る。
「姉貴の夢は」
凌駕が海の方を指さした。
「ん?」
何を言っているのかわからず、海が首をかしげる。
「姉貴の夢は、兄貴です。」
「?」
凌駕の話の意味が分からず、海が首を傾げたまま凌駕を見る。
「姉貴の夢も希望も、幸せも、居場所も・・・なんだって全部兄貴だった。」
凌駕の目が揺れる。
少し声が震えた凌駕はまた一口ビールをのんだ。
「そんなことないよ」
海が少し寂しそうに微笑むと、凌駕は首を左右に振った。
「本当です。だって、姉貴が言った言葉ですから」
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