ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
凌駕はセッティングする場所に花かごを置くと椿の方を振り返る。
「ここでいい?」
「うん。ありがとう」
セッティングした花かごの最終チェックをするのは椿だ。
左手で作業をすることにもこの5年で慣れてきている椿。
時間はかかっても最近では左手で文字もきれいに書けるようになってきている。

Eternalに出勤できない日は、自宅で新しいポップや店内の装飾品を時間をかけて作っていて、Eternalの中は常に椿のこだわったディスプレイになっている。

「椿」
凌駕は真っ先に椿の方を見た。

後ろから聞こえたその人の声に椿が満面の笑みで振り返る。
その視線の先には・・・海が立っていた。

「お前、まだ着替えしてないのか?」
「ごめん。」
海はずかずかと椿の方へ近付く。
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