ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
まだ眼帯をしている椿。店の中を移動するのも気を使っている。

「ほら」
海が助け舟を出す。
「どうしてわかったんですか?」
椿は自分が探していてまさしく客に勧めようとしていた鉢植えを海から渡されて驚いた。

「何となくそれだろうと思った。」
今は母の日のフェア中でかなりたくさんの花がある。その中から椿が探していたものをピンポイントであてる海に椿は目を丸くした。
「ほら、客が待ってるぞ」
海の言葉に椿は頭を下げてお礼を伝えると客の方へ戻った。

海も不思議だ。自然と椿が探しているものがわかり、自然と体が動いていた。
どうしてわかったのか自分でも感覚の領域で説明がつかない。

女性客が目当ての鉢植えを買って店から出ると、椿は海の方へ近付いた。
「さっきは・・・ありがとうございました・・・」
「いいえ。」
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