幼馴染みから恋人へ変わるために必要なのは…?ーー拗らせな二人の恋模様
「浴衣着ていこうかな。」

その後も何度かキスを繰り返しキリがないねってやっと離れたけれど相変わらず亜也斗は私の手をぎゅっと繋いだままだ。

亜也斗がこんな甘々系だとは思わなかったよ。

「いいね、浴衣着たのみたい。」

そう言いながら繋いだ手の甲に唇を寄せる。

「うっ…て、照れるってば。」

「照れんなって。俺、一度、出したらもうお前への好きが止まんなくて。いいだろ、減るもんじゃなし。」

「減るもんじゃなしって。」

結局、こういうところは相変わらずだけどね。

「あっ、」

亜也斗が思い出したように叫んだ。

「なに?」

「やっぱ、駄目だ。浴衣。」

「なんで?いいじゃん。」

「咲里の可愛い姿はいつだって俺に独り占めさせろ。どうしても着るなら俺にだけ見せて花火にはそうだなぁ…ジャージ、ジャージでいいわ。やっと思いが通じたんだからな、他のやつなんかに見せてたまるか。」

そういうとまた私を自分の腕の中に閉じ込めた。

「ジャージって…。もう、ほんと勝手だよね。」

「悪いか。うるせー。」

どうしても甘くはなりきれないけれどそれも私達だから仕方ないね。

だって、ほんの少し前までまさか100秒後にこんな風に気持ちを通じ合わせてるなんて思わなかったもん。

亜也斗のスマホのアラームは100秒を知らせて止まったけれど私達はこれからも続いていく。

ずっと、ずっと。

「亜也斗、好き…」

亜也斗の胸に顔を埋め呟いた。

「あー、もう煽るなって。襲うぞ。」

そう言いながらも亜也斗は優しく私を抱き締め直すだけで襲ったりなんかしない。

らしいな。

ゆっくり、ゆっくり重ねていけばいい。

だけど今はもう少しこの甘い空気に酔わせて欲しい。

後、100秒くらいはいいでしょ?










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