君のおまじないがあるから

そう言って笑う亮ちゃんに、「ありがとう」と笑う。蓋を開ければカラメルの甘い香りがする。食欲がずっとなかったけど、食べたくなってきた。

「亮ちゃん、食べさせて」

私がそう言うと、亮ちゃんは「うん、わかった。今日は甘えたさんなんだね」とスプーンでプリンをすくって私の口の中に入れてくれる。

柔らかくて、甘くて、おいしい。不安の中でも笑顔になってしまう。すると、ふわりと亮ちゃんに不意に抱きしめられた。

「りょ、亮ちゃん？」

「よかった……。やっと、心から笑ってくれた」

抱きしめられるのは久しぶりで、ドキドキと鼓動が近くに聞こえる。私のものなのか、亮ちゃんのものなのかわからない。それでも、この鼓動を聞くたびに、自分が生きているということや、愛されているのだと感じて安心する。