君のおまじないがあるから
「美鈴は、手術が怖いんだよね?顔に全部出てるよ」

「……やっぱり、亮ちゃんには全部わかるんだね」

でも、気付いてもらえて嬉しい。私がそう言うと亮ちゃんは私を離して恥ずかしそうに言った。

「そりゃあ、ずっと一緒にいた大切な人だし……」

そう言われると、こっちまで照れちゃうよ。私は亮ちゃんの頰に顔をそっと近づける。そして、優しく唇を落とした。亮ちゃんの顔は驚きで真っ赤になる。

私たちは、お付き合いを始めて長いけど、キスをまだしたことがなかった。ハグや恋人つなぎはいくらでもしたことがあるのに、キスは互いに恥ずかしくてできなかったんだ。

「えへへ。来てくれて、ありがと!おかげで不安はちょっとなくなったよ」

私が笑うと、亮ちゃんは顔を両手で覆う。隠し切れてない耳も真っ赤だ。
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