【BL】近くて遠い、遠くて近い。
恩徳
「いちについて!よーい!」
パァンッ!!!!!
銃声とともに喧々たる歓声が湧き上がる。
今日は6月中旬初夏に行われる、
体育祭予行練習の日だ。
3日後には本番。
朝練や放課後練習するクラスも増えてきた。
オレはそんなに運動が得意ではないので
ただ団体行動するだけの日々と化してしまっている。
でも、そんな中でも
密かな楽しみがあった。
団体行動の時は、
他のクラスの行進や整列まで見れる。
つまり、一目惚れした彼を
一瞬で見つけることができるのだ。
1年7組。
背の高い彼は後ろから2番目なのですぐに見つけやすい。
半袖で浅黒く焼けている肌、
高校一年生とは思えない筋肉質の腕が露わになっている。
遠目に見た横顔は、
周りの友達と楽しそうに笑っていた。
爽やかな笑顔やなぁ。
男らしい顔立ちをした彼は、
後ろ姿だけでなく
横から見ても本当にかっこよかった。
体育祭はあまり乗り気やないけど、
様々なシーンで彼を見ることができて
こうして幸せな気持ちになれる。
体育祭も悪くないわ。