BLUE
細くてやわらかい。
いいにおいがして、自分を好きだと言ってくれる。
キスをして抱きしめれば気持ちがいい。
自分に執着し、独占しようと努力する。
そういう生き物が女だと思っていた。

よくわからないが、たいていの女の子は声をかけずとも向こうからやってきた。
僕は彼女がほしいと貪欲になったことがない分、なにか物足りなさを感じていた。
それがなんなのかはよくわからないが、少なくとも奈緒にはそれがなかったということだ。

「好きか嫌いかって言えば、俺は奈緒が好きだよ。でも、奈緒とこれからもずっと一緒にこういう関係でいようとは思えない。ごめん。正直な気持ちだから。」

そう言いながら僕は思った。
女の子と付き合うことがこういうことなら、
別に恋愛っていうのは人間にとって大したことのない
ほんのささいな出来事なんだな、と。


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