BLUE
荷物を大体まとめた後、
友達の雄一(ゆういち)と会うために駅前に出た。
雄一は動物病院で働くために専門学校へ行く。

「おう。このままメシ行こう。」

駅前で僕は雄一に声をかけた。
適当なファミレスに入った。

「いつ?修が東京行くの。」
「1週間後。」

ずずず、と雄一がコーラをすする音がする。

「落ち着いたら連絡くれよ。東京遊びに行きたいし。」
「わかった。」

「お前さ、前から聞きたかったんだけど、
 どうして医学部蹴ったの?
 みんなアホじゃねーかって言ってたよ。」

「いや、医者になりたくないから。」

「じゃあなんで受けたんだよ。」

「せんせーは行きたくないなら受けるなっつったんだけど、母親がね。
 一応受験日重ならないからうけといた。」

僕の答えに雄一は大笑いしていた。

「恨まれるぞ、それ。一生懸命勉強して落ちた奴が聞いたら。」

「俺だって一生懸命勉強してたさ。第1志望は正直自信なかったから。」

「そっか。あと奈緒と別れたんだって?あいつやけになって男と遊んでるって話だよ?」

ほらな。そんなもんなんだよ。
でも自分も奈緒のことは言えない。
立場が逆だったら、寄ってくる女の子に気を許して遊んでいただろう。
半年一緒にいても、結局体の外側に見えるものにしかお互いに興味がなかったということだ。

コーヒーをすすってから僕は言った。

「別にお前に報告するほどのことでもねーじゃん?わかってただろ、大体。」

「まあね~。」



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