BLUE
上京するその日。
荷物より先に、僕は電車に乗って東京まで行った。

東京駅に着いたら美香さんに電話するように、と母親に言われていた。

電車に乗りながら昔のことを思い出していた。
僕はなぜか、新しい場所へ行くのに故郷へ帰るような不思議な気持ちになっていた。

だんだんと田畑からグレーの町並みに変わっていく窓の外の景色を見ながら、
僕はまだその不思議な気持ちに浸っていた。
「やはり彼女には会いたくない」という気持ちと、
どんな風になっているのか「会ってみたい」という気持ちと、
ぐるぐると腹の中でまわっている。
そんな不安定な気持ちになっていくのがわかった。



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