BLUE
女の子と言うには当時の僕には酷だったかもしれない。
なぜなら彼女はとても丸くて。
そして本当に大きかった。
僕が見上げるほど。
彼女の赤いランドセルは
彼女の体に対してとても小さく見えて、
ブラウスのボタンはいつ取れてしまうのだろう、と心配になるほどだった。
おかっぱ頭のその女の子は、
自分の家から出てきた僕を不審に思ったようだ。

「うちに用事?」

ちょっと不機嫌そうに彼女はそう言った。

「あ・・・」

僕は何だか気圧されして声が出なかった。
迫力がありすぎて怖かったのを今でも覚えている。
彼女は玄関の話声を聞き、
ちらりとその様子を見てから何か気付いたように言った。

「ああ、隣の子?」
「・・・うん。」

頭の上から声が降ってくる感じ。

「(でっかい女子だなぁ・・・6年生かな・・・)」

僕は早く彼女のとなりをすり抜けて、
家へ帰ることばかり考えていた。
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