一緒に話そう〜デートは甘く、君は優しく〜
「えっと……このメモ、星野くんが?」

私が紙を見せると、星野くんは「そうだよ」と笑う。学校のアイドルがこんなモブに何の用だろう。私の胸に緊張が走る。

「唐沢(からさわ)さん」

星野くんは、私にゆっくりと近づいてくる。反射的に後ずさると、私の背中は壁にぶつかった。これ以上は逃げられない。

星野くんはニヤリと笑い、ドンッと自分の手を壁に当てる。壁ドンーーー私が少女漫画を読んで憧れていたシチュエーションだ。これって現実?

「好きだよ。俺と付き合って?」

頰を赤くしながら、星野くんはそう言った。



学校のアイドルから告白されて、数日後。今日は日曜日だ。

普段なら、家族と買い物に出かけたり、家でまったり音楽を聴いたりしている私だけど、今日は違う。服をあれこれ出しては悩んでいた。

今日は、星野くんとデートする。私にとっては生まれて初めてのデートだ。

星野くんの告白を断ろうとしたら、「俺は彼氏になれないの?」と潤んだ目で見つめられ、オッケーするしかなかったのだ。最初は罰ゲームかと思ったけど、彼は本気の告白だったらしい。
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