『好き』って気持ちを伝える日
 〔それは僕も知りませんでした〕

 「そうでしょうね、本人には分からない様に使っているから」

 〈じゃあ、俺を影から見ていた篠原を誰かが見てたんですか?〉

 「 さすがにそれは無いと思うよ」
こんな話しをしながら三人で歩いているうちに駅に着くと。

 〈俺達はこれで〉

 「乗らないの?」

 〈飯食って帰ります〉

 「何々バレンタインだからレストランでも予約してるの?」

 〈ハイ〉

 篠原はまた顔が赤くなった。

 「いいなぁ〜」

 〔辻本さんは彼氏とデートしないんですか?〕

 「家で鍋」

 〈そうそう忘れるところだったコレ俺達から敬愛を込めて〉と若草色で500㎖ペットボトルより少し横幅がある長方形に露草色のリボンの付いた箱を辻本に渡した。

 「私に?」と受け取る。

 〔ハイ〕

 「さっき、もらっちゃいけないって言ってなかった?」

 〈〔それとこれは別です〕〉

 「そう?」ともらった箱をじっくり見て紙袋の中にそっと入れる。

 
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