彼はリケジョな私のお世話係
それからちょうど1週間後。私は8時00分に第一研究室に出勤した。
ええ、せめて御曹司の来る前日くらいは家に帰ってくれと夏目さん達に懇願されましたとも。2週間と2日ぶりに自宅へ帰った。久しぶりに帰るとポストが郵便物でいっぱいになっていた。まあほとんどがダイレクトメールだったけど。
家に帰ってもやることがなくて、お風呂に入ったあとはすぐに布団に入った。でも不眠症の私がすんなり眠れるわけがなく。結局夜中に起きてほこりが積もった部屋を掃除したりした。滅多に帰らない家は生活感もなくどこか寒々しかった。自宅のはずなのにどこか落ち着かない部屋で少しそわそわしながら徹夜した。そう、結局徹夜したのだ。場所が自宅に変わっただけでなにも変わらなかった。
そして私は九条財閥の御曹司がくるということで、少しくらい掃除をしようかと早めに出社した。
(今日は御曹司が帰るまで研究できないからいやだな…)
早く来て早く帰ってくれないだろうかと思いながら掃除を進める。しかし研究でほこりは大敵なので常日頃から掃除はこまめにしている。よって掃除はすぐ終わり。
暇を持て余した私は昨日夏目さんからもらった、御曹司についてかかれたプリントを眺める。少しくらいは相手のことを知っておけと渡されたものだ。
(名前は九条悠真、歳は28歳。私のひとつ上か。留学経験あり、成績優秀、現在は傘下企業である九条製薬営業部の課長…大学では経営学を専攻…)
どうやら九条財閥は突然御曹司に役員をやらせることはないようだ。このプリントによると九条悠真は現九条財閥総帥の直系の孫。次男なので跡継ぎではないだろうが将来はかなり重要なポストに就くだろう。
プリントに添えられた写真には柔らかそうな茶髪に濃い茶色の瞳をしたいかにも好青年といった風の人物が写っていた。きっと普通の女性ならイケメンだと喜ぶだろう。
しかし私にとってそれはどうでも良いこと。そんなことより現在無菌室に保管してある細胞の方が気になる。先週から行っているちょっとした個人研究がそろそろ大詰めなのだ。
(御曹司の案内が終わったらすぐに研究に戻ろう。当分面倒な仕事は全部夏目室長と浅見くんに回す)
少し大人げないことを考えながら椅子に座って、御曹司についての予習を進めた。
ええ、せめて御曹司の来る前日くらいは家に帰ってくれと夏目さん達に懇願されましたとも。2週間と2日ぶりに自宅へ帰った。久しぶりに帰るとポストが郵便物でいっぱいになっていた。まあほとんどがダイレクトメールだったけど。
家に帰ってもやることがなくて、お風呂に入ったあとはすぐに布団に入った。でも不眠症の私がすんなり眠れるわけがなく。結局夜中に起きてほこりが積もった部屋を掃除したりした。滅多に帰らない家は生活感もなくどこか寒々しかった。自宅のはずなのにどこか落ち着かない部屋で少しそわそわしながら徹夜した。そう、結局徹夜したのだ。場所が自宅に変わっただけでなにも変わらなかった。
そして私は九条財閥の御曹司がくるということで、少しくらい掃除をしようかと早めに出社した。
(今日は御曹司が帰るまで研究できないからいやだな…)
早く来て早く帰ってくれないだろうかと思いながら掃除を進める。しかし研究でほこりは大敵なので常日頃から掃除はこまめにしている。よって掃除はすぐ終わり。
暇を持て余した私は昨日夏目さんからもらった、御曹司についてかかれたプリントを眺める。少しくらいは相手のことを知っておけと渡されたものだ。
(名前は九条悠真、歳は28歳。私のひとつ上か。留学経験あり、成績優秀、現在は傘下企業である九条製薬営業部の課長…大学では経営学を専攻…)
どうやら九条財閥は突然御曹司に役員をやらせることはないようだ。このプリントによると九条悠真は現九条財閥総帥の直系の孫。次男なので跡継ぎではないだろうが将来はかなり重要なポストに就くだろう。
プリントに添えられた写真には柔らかそうな茶髪に濃い茶色の瞳をしたいかにも好青年といった風の人物が写っていた。きっと普通の女性ならイケメンだと喜ぶだろう。
しかし私にとってそれはどうでも良いこと。そんなことより現在無菌室に保管してある細胞の方が気になる。先週から行っているちょっとした個人研究がそろそろ大詰めなのだ。
(御曹司の案内が終わったらすぐに研究に戻ろう。当分面倒な仕事は全部夏目室長と浅見くんに回す)
少し大人げないことを考えながら椅子に座って、御曹司についての予習を進めた。