リベンジ学園
紗栄子からメッセージで凉子の息が詰まり、凉子は紗栄子に襲われるかもしれない恐怖で震えていた。



確かに自分は紗栄子を少しも助けなかった。



もっと正確に言うとならば、自分には紗栄子を助ける力がなかったし、紗栄子を助ける勇気もなかった。



でも、それは仕方がなかったことだったと凉子は思った。



だって誰だって、自分を犠牲にしてまで誰かを助けるなんてできないから。



自分を犠牲にできるほどの正義感を誰も持ち合わせてはいないのだから。



凉子は紗栄子に恐怖を感じながらも、勇気を振り絞って、自分が紗栄子に伝えたいことを話し始めた。



「ねぇ、紗栄子。

紗栄子は私たちを憎んでいるのかもしれない。

紗栄子は助けて欲しかったのに、誰も紗栄子を助けなかったから。

でも、紗栄子だってわかるでしょ。

晴江さんと虎治君がクラスを支配している中で、正義を振りかざした声を上げれないことを。

私だって、本当はいじめなんかなくなればいいって思ってたよ。

でも私には何もできない。

私はそんなに強くないの!」



凉子がそう言ったあとに音楽室の中の時間が少し止まった。



ウソのない凉子の言葉に音楽室にいる四人の気持ちがそれぞれに動いていた。
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