リベンジ学園
「凉子、紗栄子が追ってくる!」



麻耶が恐怖にかられた怯えた声で叫んでいた。



そして麻耶が感じている恐怖は当然のように凉子にも伝染してくる。



もしも紗栄子に追いつかれたら……。

もしも紗栄子が制裁の槍でいきなり背中を突かれたら……。

もしも自分が加藤のようにたくさんの苦痛の中で殺されたならば……。



凉子の頭の中に思い浮かぶたくさんの『もしも』が、凉子の気持ちを不安にさせていた。



凉子が紗栄子のことを考えれば考えるほど、良いことは思い浮かばず、悪い想像ばかりで頭の中が埋め尽くされていく。



そして、背後から近づいてくる紗栄子の足音が段々近くなってきていることに、凉子は息が止まりそうなほどの恐怖の中で気づいていた。



凉子と麻耶は全力で走り続けているうちに、広い中庭を走り抜け、校舎にたどり着こうとしていた。



でもそのとき、麻耶が耳を塞ぎたくなるようなうめき声と共に足を止めた。



凉子はその異変に嫌な予感を抱きながら目を見開き、恐怖の中で麻耶の方を振り返った。
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