リベンジ学園
放課後の帰り道、肩を落として歩いている紗栄子に智恵は後ろから声をかけた。



「紗栄子……。

ちょっといいかなぁ」



智恵はいじめられている紗栄子を助けられない後ろめたさから、控えめに紗栄子に話しかけた。



すると、紗栄子は虚ろな目で振り返り、智恵の顔をさみしそうに見つめていた。



「あのさ、紗栄子。

私はね、晴江さんたちはひどいって思ってる。

クラス全体を巻き込んで、紗栄子一人をいじめてさ」



智恵はそう話しながら、紗栄子の顔をじっと見ていた。



智恵はあまり話さなくなった紗栄子の気持ちを表情から読み取りたいと思っていた。



そして、もしも自分が紗栄子の立場だったらと想像すると、智恵の胸が激しく痛んだ。



晴江たちのいじめは、あまりにも理不尽で残酷だから……。



「あのね、紗栄子」



智恵はそう言って、紗栄子の顔を真顔で見つめた。



「私は弱くて、なかなか紗栄子を助けられないけど、私だけは紗栄子の味方だから。

紗栄子は私の友達だから」



智恵がそう言うと、紗栄子の瞳から堰を切ったかのように涙が溢れ出してきた。



紗栄子は智恵が想像していたよりも、一人で深く傷ついていたのだ。



智恵はそんな紗栄子の胸の痛みを知って、自分の気持ちを紗栄子に伝えた。
< 157 / 264 >

この作品をシェア

pagetop