リベンジ学園
紗栄子が山岳部の部室に来てから二時間後、虎治たちはボロボロになった紗栄子を部室に置いていなくなった。



紗栄子は誰もいなくなった部室の中で、動く気力も沸かずに泣いていた。



時間が過ぎても過去は消えない。



自分の心の傷は一生消えることはないだろう。



クラスメイトたちとは違う自分。



みんなは幸せそうなのに、自分だけが幸せになれないのはなぜだろう？



この世界なんて滅びてしまえばいい。



虎治も晴江も、みんなみんな、死ねばいい。



紗栄子はわずかに残っていた自尊心も粉々に打ち砕かれ、まるで魂が抜けた肉の塊のようにしばらくの間、山岳部の部室の床に倒れたまま動けなかった。



そして紗栄子はとめどなく流れる涙を拭うことなく、同じことをまるで呪文のようにつぶやいていた。



「村上晴江を殺したい。

原島虎治を殺したい。

クラスメイトを殺したい。

みんなみんな、死ねばいい」



そして紗栄子は涙が枯れるまで泣いたあと、唯一の友達、智恵のことを考えた。



どんなときでも自分の味方でいると言ってくれた智恵なら、自分の悲しみや怒りに共感してくれる。



紗栄子はそう思うと、自分の胸の前で右手の人差し指を左から右にスライドさせて、マイページの画面を表示させた。



そして紗栄子は胸の前に映し出されたモニターのチャットボタンをタップして、智恵に送るメッセージを書き始めた。
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