リベンジ学園
生神亮治は脳にさえ損傷がなければ、人が生命活動を続けることができる薬物にエデンという名前をつけた。



人は脳さえあれば、他の肉体で蘇る存在であるならば、肉体に死が訪れようとしても、脳だけを守れば良い。



エデンの作用がきいている脳が生きることに強く執着したとき、人間の体はまるでゾンビのように不死の状態を作り出すのだ。



でも、そんな画期的な不死の薬であるエデンにもまだ大きな欠点が存在していた。



エデンは脳を猛烈に活性化させるが、エデンが注入されてから12時間後に人の脳は萎縮し出し、やがて活動が停止してしまう。



つまりエデンはまだ未完成の薬物で、人を死に至らしめるという致命的な欠陥を持っていた。



その事実は生神亮治の研究所で働いている科学者の共通認識であった。



それなのに、一馬は西条学園中学で行われているリベンジゲームの映像を見ながら、あの小原紗栄子にエデンか注入されていることに気づいてしまった。



肩の骨を砕かれてもその痛みを克服し、戦いを止めようとしないのが、紗栄子にエデンが注入されている証拠であった。



だとしたら、小原紗栄子は日の出頃に脳が萎縮し出し、やがて生命活動を停止する運命にある。



一馬は肩の骨を砕かれてながらも復讐を止めようとしない少女の姿に胸を痛めた。
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