リベンジ学園
「死にやがれ、紗栄子!」



虎治がバッドを真横に深く引いて、紗栄子の方に重心を傾けた。



虎治のバッドの軌道はきっと自分の頭を狙ってくるだろう。



手負いの自分が我が身をかばっていては、原島虎治を殺せない。



我が身に犠牲にしても、自分は虎治を殺したい。



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



声を出すことがなかった紗栄子がまるで野生動物のような叫び声を上げた。



そしてその叫び声は次の一撃で虎治を倒すと決めた紗栄子の決意の現れだった。



紗栄子は骨を砕かれ、動かないはずの左腕を強引に上げて、虎治が紗栄子の頭をめがけてフルスイングしてきたバッドの軌道に左腕を差し込んだ。



すると次の瞬間、虎治がフルスイングしたバッドが紗栄子の左腕に直撃して、紗栄子の左腕はグニャリと曲がり、骨が砕けた音がした。



そして左腕を犠牲にして頭をかばった紗栄子は右手に握りしめた制裁の槍を高速で繰り出した。


虎治はその槍の動きに気づいていたものの、バッドをフルスイングした直後で、体を逃がすことができなかった。



(紗栄子のヤロー、最初から左腕を犠牲にするつもりだったのかよ。

そこまでして、このオレを殺してぇのかよ)



虎治は紗栄子の想像以上に強い憎しみを知り、自分が小原紗栄子という女をちゃんと理解していなかったことにようやく気づいた。



そして次の瞬間、虎治は左胸に猛烈な熱さを伴う激痛を感じ、目を見開いた。
< 214 / 264 >

この作品をシェア

pagetop