リベンジ学園
「早苗は難しく考えすぎよ。

バケモノの注意はね、こうやって引き付けるの」



晴江はそう言うと、早苗の胸に強烈な蹴りを入れた。



すると早苗はその蹴りでバランスを崩し、ヨロヨロと後退すると、番犬ルドルフのテリトリーの中に倒れ込んだ。



早苗は突然のことに目を丸くして驚き、自分がさっき晴江が引いた線の内側に倒れていることに驚愕していた。



早苗は地面に仰向けに倒れながら、絶望が宿るその瞳で晴江の顔を見つめていた。



(騙された……。

晴江に協力すれば、晴江と一緒に学園の外に出れると信じていたのに……。

晴江にとって私はいつでも切り捨てられる都合のいい存在なんだ。

私はそれを知っていたはずなのに……)



早苗の耳に晴江の笑い声と番犬ルドルフのうなり声がほぼ同時に入り込んできた。



まるで悪夢のような現実が不可避な状況で自分に襲いかかってくるのを早苗は知って、言葉も出せずパニックになっていた。



さっきまで信じていた晴江の笑顔が悪魔の冷笑に見えた。



現実はどんなフィクションよりも残酷だ。



早苗は強烈な後悔を胸に抱えながら、番犬ルドルフの鋭い牙を見つめていた。
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