リベンジ学園
紗栄子は夜、寝る前に、静かに目を閉じ想像していた。



もしも父が生きていたら、自分の未来は変わっていただろうかと。



もしかしたら、今、満ち足りていないものが自分の手の中にあって、自分は周りに劣等感を感じずにいられたのではないだろうか?



父が生きていることに安心して、未来に今よりも大きな夢を持っていただろうか?



父が生きているその世界には、今の自分とは違う小原紗栄子が存在していて、その小原紗栄子は今の自分よりもずっと幸せでいるのではないだろうか?



紗栄子のそんな想像はいつも終わりなく続くだが、想像の途中で紗栄子はハッとして現実に引き戻されるのが常だった。



今の現実に不満を言っても仕方がないことは、紗栄子が一番よくわかっていた。



だから紗栄子は自分が想像した世界を誰にも言わず、そっと心の中にしまい込んだ。
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