リベンジ学園
倒れそうな紗栄子を智恵が支え、自分の裏切りを紗栄子に謝っていた。



その後に紗栄子の血にまみれた右手は智恵の首へと伸びて、智恵の首に触れていた。



もしもあのとき、紗栄子が智恵への復讐を強く願ったならば、紗栄子は智恵の首を絞め、復讐を成し遂げられたように思える。



それなのに、なぜ紗栄子は最後の力を振り絞れず、その場で絶命してしまったのか？



一馬はその疑問に自分なりの答えを出した。



「紗栄子は日の出を迎えた図書室で、きっと復讐への気持ちが薄れたんだとオレは思う。

だからエデンの効果が薄れて、紗栄子はもう死んでいるはずの体を動かすことができなかったんだ。

つまり紗栄子は自分の意思で復讐を止めたんだ」



リベンジゲームを通して、復讐の鬼にしか見えなかった小原紗栄子が自らの意思で復讐を止めたという一馬の考えを聞いて、祐子は絶命する寸前の紗栄子の様子を思い出していた。



確かにあのときの紗栄子からは、強い殺意を感じなかった。



紗栄子は復讐よりも野村智恵の気持ちを確かめることを優先していたようにも思える。



祐子はそんなことを考えながら、話の続きを聞いていた。
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