リベンジ学園
「それじゃ、虎治の言うようにみんなはこのクラスにはいじめはなかったと言うんだな。

よし、わかった。

僕はみんなのその言葉を信じよう」



紗栄子へのいじめがなかったことにしたいのは、加藤先生も同じだった。



誰もが紗栄子の自殺の責任を逃れ、この事件を穏便に済ませたいと思っている。



この教室にいる全員が暗黙の共通認識を持つ中で、加藤先生が急に急に真顔になると、予期せぬことをみんなに話し出した。



「あともう一つ、僕からみんなに伝えておかなくてはならないことがある。

じつは小原紗栄子の遺書は僕が読み上げた遺書だけじゃない。

紗栄子はもう一通、別な遺書を書いている」



「先生、どうして紗栄子は遺書を二通も書いたんですか?

そのもう一通の遺書には何が書かれていたんですか?」



3年2組のインテリ、松野匠が加藤先生にそう言うと、加藤先生は真剣な顔つきで松野に答えた。
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