リベンジ学園
このリベンジゲームのクリア条件の一つが紗栄子を殺すことだと言うことは智恵も理解していた。



でも、紗栄子の記憶を持ち、紗栄子に瓜二つの顔をしたクローン人間が殺される瞬間を見るのはつらかった。



智恵は目を見開き、悲鳴を上げそうになりながら、誠二が振り下ろしたイスの行方を見つめていた。



そして知恵が残酷な惨劇を予想して、紗栄子から目をそらそうとしたとき、紗栄子が左手で振り下ろされたイスをしっかりとつかみ、誠二の顔をにらみつけた。



『私は弱い自分が嫌いだった』



ふいに誠二のマイページが開き、紗栄子からのチャットのメッセージが、誠二の目の前に映し出された。



『私は強くなりたいと願っていた。

憎いお前たちに正義の鉄槌をくらわすために!』



「何で紗栄子がイスを受け止められんだよ!

オレは全力で……」



誠二が紗栄子に向かって叫んでいるとき、紗栄子が右手に握りしめている長さ1.5メートルの制裁の槍が孟スピードで動いたかと思うと、一瞬のうちに誠二の喉を貫いた。



そしてその瞬間に誠二は言葉を失い、絶命し、喉から大量の血をボトボトと垂れ流して脱力していた。



そして立花誠二の死を目の当たりにした3年2組の生徒たちはパニックになり、叫び声を上げながら我先にと教室の出口に殺到していた。



「逃げろ!

紗栄子は本気でオレたちに復讐するつもりだ。

早くこの学校から抜け出すんだ!」



クラスで一番のスポーツマンである安達悟がそう叫ぶと、ほとんどの生徒が廊下を全力で走っていた。



そんなパニック状態の中で、まだ教室内に残っていたのは晴江のグループと虎治のグループだ。



紗栄子をいじめた主犯の二つのグループは、目の前で起きた惨劇に悲鳴も上げずに、紗栄子と生神を見つめていた。
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