リベンジ学園
「自分のクラスの生徒の自殺の原因に興味がないんですか?

加藤先生はそれでも教師だと胸を張って言えますか?」



中川峰子にはまだ熱血教師の名残がある。



でも、加藤には教師という職業に熱意はない。



世の中の富はAIとロボットが生み出す時代に職業の優劣や貴賤を考えるのも馬鹿馬鹿しいとさえ加藤は思っていた。



優秀な生徒は学校の授業を受けなくても、ネット上に無数にある動画学習プログラムで学習を済ませてしまうのだ。



そしてそんな優秀な生徒は、世の中を更に発展させるために科学者になるのが常である。



でも世の中の大半は凡人だ。



何となく仕事と呼ばれている業務をこなし、それでいて貧しさとは無縁の生活をぼんやりと享受していた。



「加藤先生、小原紗栄子の自殺の原因はいじめです。

彼女の机の中から遺書が見つかったんです。

これは重大な事件ですよ。

マスコミだって、西条学園中学に来るはずです」



加藤は中川の話を聞いているうちに憂鬱な気分に包まれ、これから聞かれるであろう小原紗栄子のいじめについてのいいわけを頭の中で考えていた。



どういいわけをすれば、自分の責任が一番軽くなるのだろうと……。
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