リベンジ学園
『先生、じつは私……、クラスメイトから……、いじめを受けていて……。

自分ではもう、どうしていいかわからなくて……』



ある日の放課後、小原紗栄子は加藤を呼び止めてそう言った。



加藤はそんな紗栄子を見て、厄介事が舞い込んできたことに眉をひそめた。



(何で今の働かなくても生きていける平等な世の中でいじめなんかが起きるんだ?

オレは教師だけど、生徒には興味がない。

いじめなんて、いじめられる方に責任があるに決まっている)



加藤が受け持っている3年2組は、特権階級の一族である村上晴江と原島虎治が幅をきかせているクラスだった。



そんな二人に紗栄子のことで、平民の自分が注意するのも気が引けるし、面倒だ。



加藤はそんな胸の内を隠しながら、紗栄子にこう言った。



「なぁ、紗栄子。

そのいじめの問題は自分で解決できる問題じゃないのか?

紗栄子がいじめの問題から逃げているから、いじめはなくならないんじゃないのか?」



加藤はもっともらしいことを言っていたが、加藤のその言葉には紗栄子が求めている言葉は何もなかった。
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