愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
やっぱり暖かい。
こうして抱きしめられると、いつの間にか寒さなんてなくなっていた。
ただ前回と違うのは、少しドキドキしてしまう自分がいたこと。
呆れてた前回とは違い、こんなにも意識してしまうのは何度も迫られてキスされたせいだろうか。
きっと瀬野のことを“男の人”と認識してしまったのだ。
ただでさえ慣れていないというのに、あんなにも乱されてしまえばドキドキしてしまっても無理はないと冷静に考える。
「やっぱりこうしてると暖かいね」
「……うん」
「それにしても川上さんって小さいなぁ」
「女子の中では高い方だし…」
身長が160もあれば、そこそこのはずだけれど。
瀬野が高すぎるのだ。
「俺にしてみれば小さいよ、本当にかわいい」
「バカにしてる?」
「してないよ、事実を口にしただけ」
その軽い口調がどうも信じられないのだ。
はぁ、と一度ため息を吐いた後に目を閉じる。
寝る準備に入るためだ。