愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
闇のアツマリ
目が覚めると、ちょうど7時を過ぎた頃だった。
いつもは6時半にアラームを設定しているのだが、長期休みに突入したため設定する必要がない。
それでも早く目が覚めるのは、もう癖づいているらしい。
少しの間ボーッとしていると、ふと自分が誰かの腕に包まれていることに気がついた。
「…あっ」
思い出した。
私、瀬野を家に泊めたんだっけ。
つまりこの腕の正体は瀬野である。
寝る前と同じ体勢に少し驚きだ。
腕が痺れたりしないのだろうか。
当の本人は未だに動かず、眠っている様子。
「さて、どうしたものか…」
無理矢理解いたら起きそうだし、初日くらいゆっくり寝かせてあげたい。
ということは、私はじっとする選択しかなさそうだ。
「はぁ…」
大人しく目を閉じて再度眠ろうとしたけれど。
完全に目が覚めてしまったようで、眠れそうにない。
最初こそじっとしていたけれど、だんだんと同じ体勢がきつくなってくる。
そのため私は体を反転させ、瀬野の方を向くことにした。