愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「警戒してる姿がかわいいなって」
「は、早く家から出てよ…」

「んー、そんな焦ったように言われるとなんかなぁ。それに今は川上さんの家じゃないから、触れてもいいんだよね?」

「…は?」


意味がわからない。
どうしてそのような考えになるのだ。


「家だけだって、私がいつ言ったわけ?」

「普通に考えてそうかなって。家に泊まらせてもらってる以上、もちろん家だと手を出すようなことはできないけど…家の外なら関係ないよね。普段と変わらない状況だし」

「待って、絶対に許さないから。
家の外でも触れようものなら絶対に…っ」


私の行く手を阻むようにして、瀬野が体を壁に押し付けてきた。

その手つきは優しいけれど、相変わらず強引だ。


「せ、瀬野っ…」

「その先は言わせないよ。
俺が言うこと聞くのは川上さんの家でだけ、だから」


グッと顔を近づけてきて。
互いの息がかかるような距離感だ。

その距離のせいで顔が熱くなるのがわかる。
また瀬野に乱される、だから嫌なのだ。

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