愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「川上さん、歩くよ」
「……うん」
瀬野の言葉が合図となり、足を進める。
すると瀬野の道を開けるようにして、みんな両端に退けた。
いや、正確には手前に立っていた人たちのみで、奥に視線を向ければ───
「あっ、涼ちゃんやっと来たよ」
「奇襲に遭ったらしいな。敵は強かったのか?」
明らかにそこだけ異様な空気が流れていた。
瀬野を尊敬する眼差しで見る人たちとは違い、友達感覚で話しかけているのだ。
さらにそこだけ寛ぎスペースのようになっており、ソファやテーブル、椅子までも用意されている。
ここに階級のようなものが存在するのならば、明らかに上位階級の人たちだろう。
全員男の人で、人数は4人。
その人たちの服装もまたバラバラだった。
「あれ、なんか涼介がすげぇ美少女連れてぞ!」
「……確か、君は」
なんとも個性的な集まりだろうか。
メガネの真面目そうな男もいれば、ヘッドホンをしてゲームをしている男もいて。