愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「川上さん、歩くよ」
「……うん」


瀬野の言葉が合図となり、足を進める。

すると瀬野の道を開けるようにして、みんな両端に退けた。


いや、正確には手前に立っていた人たちのみで、奥に視線を向ければ───


「あっ、涼ちゃんやっと来たよ」
「奇襲に遭ったらしいな。敵は強かったのか?」


明らかにそこだけ異様な空気が流れていた。

瀬野を尊敬する眼差しで見る人たちとは違い、友達感覚で話しかけているのだ。


さらにそこだけ寛ぎスペースのようになっており、ソファやテーブル、椅子までも用意されている。

ここに階級のようなものが存在するのならば、明らかに上位階級の人たちだろう。


全員男の人で、人数は4人。
その人たちの服装もまたバラバラだった。


「あれ、なんか涼介がすげぇ美少女連れてぞ!」
「……確か、君は」


なんとも個性的な集まりだろうか。

メガネの真面目そうな男もいれば、ヘッドホンをしてゲームをしている男もいて。

< 146 / 600 >

この作品をシェア

pagetop