愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「ごめんね、一応この4人は幹部なんだけど…個性的だよね」
「あ、えっと…」
わざと言葉に詰まらせて、瀬野からギュッと離れないでおく。
そんな私を見て嬉しそうにする瀬野に腹が立つけれど、ここは我慢だ。
そしてやっぱりこの4人は、幹部という上層階級のようだ。
「涼介の彼女か!?
彼女じゃなかったら是非俺の女に…」
「陽翔、この子にあまりがっつかないであげて」
陽翔と呼ばれたこの男。
身長は瀬野より少し低いぐらいで、アッシュグレーの髪をしているのが特徴的。
少し目はつり目気味であるが、整った顔立ちをしていた。
「幹部はひとりずつ紹介した方が良さそうだね。これからも関わることになりそうだし。まず座ろうか、川上さん」
瀬野は躊躇いもなく誰も座っていないソファーに腰を下ろし、私も隣へと誘導する。
オロオロしている“フリ”をしながら、私も彼の隣に座った。