愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「ごめんね愛佳ちゃん、涼ちゃんが潰すのはダメだって。雷霆は弱いから煌凰の傘下になっただけなのに…強いって傲慢になってて腹立つね」
少しピリつく空気。
一瞬、光希くんに対してゾクリと恐怖心が芽生える。
「落ち着け光希」
「悠真っちに言われなくても落ち着いてるよー。
冷静第一だもんね」
光希くんがニコッと笑顔を浮かべたところで、ようやく空気が和らいだ。
そこを見計ったのか、瀬野が口を開く。
「じゃあまずは敵の説明ね。この辺りには3チームの族がいて、そのうちのひとつが俺たち【仁蘭】なんだ。
あとはさっきも言ったけど、【煌凰】と【雷霆】のふたつだよ」
難しい単語が3つでてきたけれど、これは覚えた方が良さそうだ。
一応頭の片隅に残しておく。
仲間は仁蘭だけであり、煌凰と雷霆は敵だと…ああ、本当に面倒だ。
「最初は三つ巴の対決で、何度も喧嘩し合ってたんだけど…最近になって煌凰と雷霆が手を組んだんだ」
「手を組む…」
「雷霆は3チームの対決の中で、衰弱していたからな。恐らく煌凰が傘下にしたんだろう」
その時、瀬野の説明にプラスして悠真という男が口を挟んだ。
「そういえば、併合だって言ったらすごく怒られたよ、雷霆の人たちに」
苦笑した瀬野を見て、昨日のことを思い出した。
確かに手下じゃないって叫んでいた気がする。