愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「おい翼!
いいところを取るんじゃねぇよ!」
「他の2チームはただ裏を支配したいだけ。
力のある人間以外は簡単に切り捨てる。
でも瀬野くんは違う、例え弱くても受け入れてくれる、必要としてくれる」
「珍しい〜!翼くんがすごく話してる!
それぐらい涼ちゃんはすごいってことだね!」
「……うるさい」
それだけ言って、またゲームをし始めてしまう彼。
どうやら瀬野にだけ心を許している様子。
「まあ2チームとも、俺たちの目的には共感してくれないらしくて…難しいね、統一っていうのも」
困ったように笑う瀬野は、どう統一するつもりなのだろう。
「今は冷戦状態だけど…ちょっと雷霆の動きが怪しくなってきたね」
「そうだな、昨日も瀬野と川上さんを奇襲してきたんだろ」
悠真という男が深く考え込む動作に入る。
本当にこの男が喧嘩をしてそうなイメージなど全く湧かない。
「しかもウチの総長様を狙うなんて、大胆にも程があるよねぇ。涼ちゃんがどれだけ強いかって知ってるだろうに」
「それよりも、どうして雷霆の人たちは俺の居場所がわかったんだろうね。そこが不思議なんだなぁ」
「確かに。涼介の後をつけてたわけじゃないんだろ?」
「もちろん」
瀬野だけでなく、副総長も不思議そうにしている。
確かにどうして瀬野の居場所がバレたのだろう。
考えてみれば不思議だ。